スタンドバイミーと魚を三まいに下ろす夢を見る。

 
  
なんだか無性に、瑞々しくて、清々しい、思い出のひとこまでも書きたくなった。
甘酸っぱい、青春時代のひとこま、でもいいだろう。
同じことだ。
まぁ、出来るならば、欲を出せば、『スタンドバイミー』のような感じが好ましい。
高望みして記憶の引き出しを捜してみたが、瑞々しさとは無縁の人生なのか、さっぱり思い浮かばない。
便意を我慢するときのような、または苦虫を噛み潰したような、そんな顔で気分転換のお風呂に入って、ふと思う。
 
『そうだ、来年は結婚しよう』
 
決定的な閃きだった。
(が、この場合、スタンドバイミーとはまったく関係がない)
  
そうだ。
良く考えれば、来年は運勢がいいのだ。
細木和子が言っていた。
ジャガー横田だって、子供を生んだし。
まだまだ希望はあるかも知れぬ。
  
そこまで一気に思い込むと今度は、ウェディングドレスがいいか、文金高島田がいいか、などとおのれの晴れ姿をうっとり想像する。
新居は絶対○○に構えて、夕方には成城石井に買い物へ行こう。
そうして、犬を飼う。何がいいか?
いや、その前に料理を勉強しなければ。
 
想像がどんどん膨らむ。
思わず、にやにやする。
はじめから何の根拠も具体性もない夢想なだけに、心浮き立つ純粋な楽しい想像である。
明日あたり、本屋で魚の下ろしかたが書かれた料理本を熱心に眺める私がいるかも知れぬ。
どちらにしても、料理を学ぶのはいいことだ。
 
 
 

コメントを残す