恩師に負けない末路を ~小沢一郎の行く末を憂う~

 
 
 
 
(msn産経ニュース 2009.12.16 22:00)
 
予算要望書提出を前に、議員らと笑顔で話す民主党の小沢幹事長=16日午後、国会予算要望書提出を前に、議員らと笑顔で話す民主党の小沢幹事長=16日午後、国会
 
 「財務省は予算編成を『急げ、急げ』と言っているが、国民の声をちゃんと聞いてやってくれ」
 首相官邸に民主党の小沢一郎幹事長の声が響いた瞬間、陳情とりまとめにすぎなかった文書が、来年度の予算編成の方向性を決める「最終判断の文書」に格上げされた。
 首相官邸の大ホール。小沢氏ら24人を待っていたのは鳩山由紀夫首相、菅直人副総理・国家戦略担当相、藤井裕久財務相ら政府側12人。冒頭こそ和やかなムードだったが、小沢氏の怒りはすぐに明らかになった。
 小沢氏は、財務省主導で税制改正や予算編成が進められている現状に何度も強い懸念を表明。そのけんまくに政府側12人全員から笑顔が消えていた。
 重点要望の最大の特徴は「子ども手当」への所得制限導入など、マニフェストで国民に約束した内容と反する部分がある点だ。
 重点要望は「歳出削減に動く財務省にくさびを打ち込む」(周辺)ことが狙いだった。だが14日の党役員会で小沢氏は語った。
 「財源を示さないとあまりにも無責任ではないか」。重点要望は歳入面にも言及することになり、文書は、予算要望ではなく「小沢版」の予算基本方針へと変質した。
 小沢氏をイライラさせているのは、来年度予算概算要求が過去最高の95兆円超に膨らんでいるにもかかわらず、鳩山首相が歳出削減や歳入確保で、なんら英断を下していないことだ。
 気配を感じとった平野博文官房長官は16日、「これは党の要望というより国民の要望だ」と述べ、小沢氏に屈服し、全面的に受け入れる考えを示した。
 地方で要望の強い整備新幹線や高速道路整備が盛り込まれるなど「小沢氏が来年の参院選を考慮して政治判断した」(党幹部)内容になっているのも特徴だ。小沢氏本人もこの日、「選挙に勝ったから内閣が組織できているんだ」と、首相らに激しく迫った。
 民主党は政策決定の「政府への一元化」を掲げてきたが、今回の重点要望の提出で、こうした理念が空文化している現実が改めて浮き彫りになった。小沢氏の政府に対する影響力はますます強まりそうだ。
 小沢氏は16日午前、新潟県柏崎市にある田中角栄元首相の墓参りをしていた。この日は元首相の十七回忌。墓参後に小沢氏は記者団に語った。
 「先生に負けない政治家になるよう頑張りたい」
(坂井広志)
 
 
 
 民主党政権のすることにはいちいち驚かされ、呆れ果ててきた。
 しかし、これはまたすごい。
 自分たちが政権を獲る理由となった「マニフェスト」とも、今まで密室の中で行われていたことが国民の目に晒された、その透明性こそが評価を受けた「事業仕分け」とも全く関係のない、小沢一郎氏の胸三寸で予算が決定してしまうという事実。
 しかも、なんとそれは「国民の声」だと言う。
 
 たった三ヶ月で評価をするな、もっと長い目で見てあげてくれとは、良く聞かれる民主党擁護派の意見だが、逆を言えばたった三ヶ月で、これだけ国の有り様を変えてしまう民主党と言うのは凄まじすぎる。
 この急激な変化には海外の方たちのほうが驚かれているのではないだろうか。
 何だかんだ言っても日本はそれなりの評価を受けてきた。マナーはいいし、最先端技術にも優れている。ところがたった三ヶ月で、中国共産党のような独裁国家になってしまったのだ。特に米国は目を見張る思いだろう。
 私たち当事者である国民のほうが、この異常事態的な国の変貌に鈍感なように思われる。改革(解放か?)だとか、新しい時代の在るべき姿だとか、まだ「幻想」を抱いているのかもしれない。
 などと憂いていたら、なんと昨日鳩山内閣の支持率が50%を切ったとか。やはり国民はバカではない。どれだけ小沢一郎他民主党の面々が詭弁を弄しても騙せないものだ。
 ただし、彼らが政権を獲ったことで、私にとっては良かったことがいくつもある。
 まず政治や歴史に興味を持つように至ったこと。
 そして、国も人間も、滅びるのはすべて己の「傲慢」から来るという事実をはっきりと認識させてくれたこと。
 私は才能や権力をもつものには、その要素として「驕り」という性質も付随するものだと思っていた。誰しも大なり小なり持ち合わせているものだと思い込んでいたのだ。しかし、違った。どんなに豊かな感情や、明晰な思考力を持っていても、誇り高い志を持っていようとも、驕り高ぶるものは必ず地に落ちる。
 天皇を政治利用して、亡国のものとなり下がってまで結束を固めたはずのお仲間は、しかしずいぶんつれないではないか。途上国側のボスとして、途上国支援金までももらうとかなんとか。
 150億の支援金をするまでに至った日本が、狡猾に途上国のものだとして国際的義務にも環境問題にも重きを置かない某お国に隷属しているとは信じがたい話である。
 「先生に負けない政治家になるよう頑張りたい」
 小沢一郎氏が亡き田中角栄氏の霊前で誓った言葉だがそれこそ彼の行く先を暗示している。
 田中角栄氏の末路を覚えているのだろうか。しかもそれは愛弟子の自分の裏切りが招いた結末だということも、忘れてもらっては困るだろう。
  
 
 

コメントを残す