国民再編にうってつけの子ども手当って何だ。

 
 
 
外国人の子ども手当に国内居住要件を検討 長妻厚労相
 
このニュースのトピックス:労働・雇用
 母国に子供を残す外国人にも子ども手当が支給される問題をめぐり、長妻昭厚生労働相は17日、平成23年度以降の制度設計時に子供も日本国内に居住していることを支給条件として検討する方針を明らかにした。これに伴い、海外に単身留学する日本人の子供に手当が支給されなくなる事態も予想されるため、制度設計に合わせて、諸外国の手当制度の運用状況を調査する考えだ。
 一方、長妻氏は、22年度分での支給条件見直しは否定した。
 17日の参院本会議で、自民党の丸川珠代氏の質問に答えた。
 外国人への子ども手当をめぐっては、22年度分は現行の児童手当の仕組みを踏襲したため、母国に子供を残す場合にも子ども手当が支給される。一夫多妻制で母国に子供が数十人いるケースも対象になる。
 ただ、本当に母国の子供を養育しているのか支給事務を行う市町村が現地まで確認に行くのは難しい。厚労省は当面、虚偽受給防止のため、養育関係を証明する書類の提出徹底と様式統一化で対応する方針だ。
 
 
 
☆☆☆☆☆☆☆☆
 
 
 昨夜テレビを見ていたら、今日は何の日でしょう、と問いかけるニュースがあった。
 正解は日産(ルノー日産)が初めてインドに進出し、新工場の竣工式を行った記念すべき日なのだそうだ。華々しい竣工式の映像が流される。
 日本の自動車メーカーが海外に進出し、自動車部品産業も中国に拠点を移す、という話は良く聞いている。中国ばかりよりはインドもいいではないか、と頷きながら見ていると、ふと金型産業の企業の青年が憂いた顔で登場する。
「金型は日本の独自の技術ですから・・こういう形でそれを安売りするのは・・」
 忍びない、という話のようだ。どうやら、日産の海外進出に伴って、「産業のマザーツール」である金型もメーカーごと海外に拠点を移さないといけなくなったらしい。「日本で戦っている限り生き残れません」と多分海外進出の責任者だろうか、まだ若い青年が悲痛な趣で言う。
 しかし、受注先の日産が面倒を見てくれるわけでなし、彼らは自分たちで海外工場を、その提携先や人材を確保しないといけない。低コスト労働力を得るために、培ってきた技術を身売りしなければならない。「デモアナタタチハソレデエルモノガタクサンアリマスヨネ」とやっと見つけたインドの事業者(なのか交渉相手のようだ)に言われ、はいはい、と思案げにうなずく姿が痛々しい。それでも希望を捨てまい、と、最後には海外に進出することを前向きに肯定するコメントがあった。笑顔を見せる。とても晴れやかと言えるものではなかった。
 
 私が不思議に思ったのは、こんな思いをして最後の砦の産業も海外へ行かざるを得ないということで、悲痛な彼が言うように「日本にいる限り生き残れない」のは、それはなぜかと言えば、やはり最大の問題は低コストの労働力なのだろうな、と。そんな当たり前の事実だった。改めて実感させられて、そして、彼らのみならず日本の産業がすべて海外を拠点とすると、冒頭のニュースにおける子ども手当ってどうなるんだっけ?という素朴な疑問だ。
 向こうの人材を向こうで使うのだから、日本人労働者全員が行くわけではないな。彼らは職を失い、海外の安い彼らが職を得る。とは言え、監督するものや技術を教えるものが必要なのだから、日本企業の多くの日本人は海外に渡るのだろうな。
 もちろん同じことは日本国内でも起こっているわけだ。問題はすべて「低コスト化」なのだから、大量の外国人がやってきては、日本中の企業に雇われて、瀕死の日本経済を支えてくれることだろう。
 で、その場合は、子ども手当はどうなるんだっけな。
 
 最初の例、日本人が生き残りをかけて海外に行って技術を身売りする、こちらではもちろんあの青年が奥さんを連れてインドに行けば子ども手当は出ない。お子さんが学校を卒業するまでおじいさんおばあさんに面倒を見てもらえればどうにか出る。
 おじいさんおばあさんがいない、または彼ら保護監督者の経済的事情で、青年夫婦が仕送りをすると出ない。奥さんが日本に残れば、その場合はもちろん子ども手当は出る(※下記に追記事項あり)。すると、単身赴任を後押しする理由が増える。家族は別々に暮らすことが普通になってくるわけだな・・子作りに励む時間も消えるわけだ。長年というより半一生的にそれが続いたら、青年は海外で現地の女性と恋に落ちたりしないのだろうか・・離婚、再婚とかも想定できる話ではある・・
 次の例、日本にやってくる出稼ぎ外国人だ。もちろんこちらは親が日本に居住していればこども手当は出る。一夫多妻制で子だくさんだろうが、ブローカーだろうが出る。
 長妻厚労相はそうならないように、虚偽防止のための書類を提出させると言っていたが、その真偽を確認するのは各自治体、お役所の面々で、政府はノータッチである。現地に確認に行けるわけではなし、お役所仕事ならば規定の書類さえあれば疑問に思ってもハンコを押すんだろうな・・と私は想像してしまったりする。
 おかしなものだ。現政府の政策では日本は日本人の税金を使って外国の子供を養うのか。
 少子化対策って日本人の子供の少子化対策ではなかったのか。
 児童手当を踏襲と言うが、規模が違うし、なぜ公明党の政策である児童手当と同じにしなければいけないのか、意味が全く分からない。
 よしんば鳩山首相の解釈通りに日本国民が「日本の住民」であったとしても、海外に住んでいる外国人の子供じゃそれにも当てはまらないじゃないか。なぜ金を払うのだ。海外に住んでいる日本人はもらえないというのに、どう考えてもおかしいだろう。「住民」ではない彼らはもう日本人ではないというのか。
 燦然と輝く「低コスト化」という名目を掲げ、これからすべての日本企業は生き残りをかけて、海外に拠点を移し、海外から人材を雇う。技術を安売りして、日本人労働者を解雇して、「自社産業=日本経済の再生」という使命を全うすることだろう。たとえ悲痛な顔をしようと、家族と別れ別れになってでも。
 その結果何が残るかと言えば、日本人と外国人の入れ替わりだ。ガチャポンである。政界再編って良く言うけど、国民再編だな、まさに・・
 子ども手当はそれを加速させるためのうってつけの政策ではある。感心せざるを得ない。
 なぜ瀕死の彼らを支援(救済)しようとはせず、塩を塗り込む真似をするのか。この政策は一体誰のための政策なんだろう。日本人と日本の未来の子供たちのものでないことだけは確かである。もしもそうだと言い張るのなら…
 
 「『日本列島は日本人の所有物と思うな』という発想は日本人の意識を開くことで、死を覚悟せねば成就は不可能。そこまで日本を開かない限り、日本の延命はない」
 鳩山首相の弁である。
 どうやら日本の延命は、たとえ民族が滅びようと日本人救済を見限って、代わりに外国人を入植することで計られるらしい。
 ニュースの青年の笑顔がますます痛々しく映ってくる。
 
 
 
 
 
 ※追記 子ども手当法案 衆議院HPより
 (もしかしたら私の認識が違っているかもしれない。4条2号を良く読むと、監護者が母親となる場合、収入によっては支給しないと言っているようである)
 
 
 
 

コメントを残す